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知れば知るほど
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション善き人のためのソナタ スタンダード・エディション
(2007/08/03)
ウルリッヒ・ミューエ

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思いがけず、いい映画にあたった。

舞台は東ベルリン、時は1984年。

国家保安省シュタージの一員ゲルド・ヴィースラー大尉は
有名な劇作家ゲオルク・ドライマンとその恋人で女優のクリスタ=マリア・ジーラントを監視することになり、彼らの私生活を盗聴・報告する。


ある日ブラックリスト入りしている、演出家であるイェルスカが自殺をした。という訃報を聞いたドライマンは
その悲しみを「善き人のためのソナタ」という曲を、ピアノ演奏し弔う。
次第に彼は、ドライマンの芸術家としての思想やクリスタの置かれている立場。
あらゆることから
国家の裏切り者となる、命を懸けての証拠隠蔽を行う。
その人となり。が、心にぐっとくる。

決して感情を吐き出さないけれど、静かに伝わる心の動きが
手にとるように、見て取れる。

密告という事実が衝撃的な結果を生み、悲しい結末を迎えるが
戦争という非日常的な事象が起こす、選択・葛藤・裏切り・愛情。

そういったものに、見ているこちらも怒りや憎しみを超え
ただただ、涙がでるばかり。

そして、ベルリンの壁崩壊という時代を向かえ
彼らの自由への扉が開かれた。

人間としての尊厳・自由・愛とは何か。を考えさせられる映画だった。

ラストがまた良い。

芸術家は、政治をも脅かす。宗教家も同様か。

それは、彼らに確固たる「思想」があるからではないか。
人々が自分の予想・思考を超えてしまうこと
手の中に無い事。

それが何よりも恐怖。なのではないか。

21年前の出来事。というと、10歳。
あの時の映像は覚えているし、何かとてもすばらしい事のように思えたけど
それだけではない事を、今やっと知れた気がする。

昔から、歴史は苦手だったけど
人となり。を知ると、あらゆる事が心に浸透するものだ。

何だか、この映画にまつわる事が
色々と衝撃的。
まず。この監督さん。33歳なんだって。素晴らし過ぎます。
そして、この作品を作るにあたって4年の歳月をかけて徹底的に調査したんだって。

あとは、主役を務めたドイツ人俳優のウルリッヒ・ミューエ氏が7月22日、胃がんのため54歳で死去。
実生活では十数年間、自身の妻に密告され続け、国家保安省の監視下にあったことでも知られている。という事で、なんともまあ。切ない。

 ウルリッヒ・ミューエは旧東ドイツのグリンマ生まれ。1975年にライプツィヒで演技を学び始めるまでは土木労働者として働いていた。1983年にドイツシアターに加わり天才舞台俳優の評判を得る。DDR(1949-1989年の旧東ドイツ政権)の映画やTVに何本も出演している。
もう彼を他で見ることは出来ない。


知れば知るほど、この映画が心に深く刻まれる。
また、丁寧に観ようと思います。


ベルリンの壁崩壊や、なぜ作られるに至ったかは
ベルリンの壁 写真館

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